
マイタケは、サルノコシカケ科マイタケ属で、主に東北地方の栗の木(くりのき)をはじめとする、ブナ科樹木の根元に生えるキノコです。
香りが高く、食感が良いため古くから人気の高いキノコです。
昔から貴重な木の子と言われていたマイタケは、見つけた人が「舞い上がって喜ぶ」ことからマイタケ(舞茸)と呼ばれるようになったという説と、形が「蝶が舞う姿に似ている」ところから名付けられた、という説があります。
1970年から人工栽培が始まり、美味しくて独特の食感がたまらないマイタケは、身近な食材となりました。そんなマイタケの栄養と効能について見ていきましょう。
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マイタケの起源と歴史
マイタケは世界中の暖温帯から温帯北部にかけて分布するナラ類・カシ類・シイ類という、ブナ科樹木の大木の根株に寄生する木材腐朽菌です。
近年、マイタケはとても馴染み深い食用キノコの1つです。
しかし人工栽培が盛んになる前、南関東の照葉樹林地帯より南側では貴重なキノコで、一般的に食べられるものではありませんでした。
マイタケは、落葉広葉樹林帯では古くから貴重な食用菌でした。
香りと風味に加えて体に良いことから、江戸の時代には大名に献上するのと同じ重さの銀を褒美にもらえたという伝えもあるほど、希少価値が高かったようです。
希少なだけでなく、食味の良さ、そして一旦得られたときの収穫量の多さのため、発生する樹木を把握していると、何年にも渡って確実に収穫することができることでキノコの価値を高めました。
また、マイタケは生のものだけでなく、乾燥ものも販売されています。旨みが凝縮された乾燥マイタケは、生よりも香りが良く、出汁もよく出ます。
マイタケの種類
シロマイタケ

マイタケと似たような姿をしていますが、肉質がマイタケより柔らかく、歯切れはあまりありません。色は白色からクリームがかった色をしています。
シロマイタケは、煮込んでも一般的なマイタケのように煮汁が濁ることがありません。色が出ないので、ホワイトシチューなどの料理に重宝されます。
トンビマイタケ

一般的なマイタケはミズナラなどのナラ類に多く発生しますが、トンビマイタケはブナに寄生することが多くあります。
トンビマイタケは成熟すると硬くなっていく特徴があるため、秋田のきりたんぽなどではだし汁として乾燥したものを使用されています。
トンビマイタケは天然のものと、栽培によって育てられているものがあります。天然物は色が白いのですが、時間が経つと変色してしまいます。
チョレイマイタケ

分類学的には食用にするマイタケと同じマイタケ属に属する説と、チョレイマイタケ属として独立させる説があります。
チョレイマイタケは、マイタケに似た風味を味わうことができます。
マイタケの食感
マイタケは肉厚なので歯ごたえがあり、シャキシャキ、さくっとした食感です。この食感とともに、旨味をたっぷり味わうことができます。
この食感を味わうためには、火を通しすぎないようにすることです。揚げ物や炒めものに使う際には、短時間で調理するようにしましょう。
マイタケの旬と有名な産地
天然のマイタケは、9月下旬頃から10月頃に発生します。栽培されているマイタケの出荷は通年おこなわれているので、店頭で見かけない日はありません。
マイタケの主な産地は新潟県で、全国の60%を生産しています。続いて静岡県、福岡県になります。
新潟県はキノコそのものの生産量も全国で第2位ですが、その中でもナメコ・ヒラタケ・マイタケは日本第1位になります。
皆さんも「雪国まいたけ」というマイタケの会社を耳にしたことがあるでしょう。この雪国まいたけのマイタケこそ、日本でシェア第1位のマイタケになります。
現在市場に出回っているものはほとんどが人工栽培のもので、天然のものはごく少量になっています。
現在でも天然のマイタケは、「幻のキノコ」と呼ばれるほど高価な存在として扱われています。
良いマイタケの選び方

新鮮で良いマイタケは、軸が白くカサの部分が肉厚で色が濃く光沢があり、触ると弾力を感じ、パリッと折れそうなものになります。
古いマイタケは、水分が表面ににじみ出てくることがあります。
スーパーなどで、パックに入ったマイタケには、1株のものや房の寄せ集めのものがありますが、この場合には、1株のものを選ぶことをおすすめします。
マイタケに含まれる栄養素
マイタケはビタミン類やミネラル、食物繊維を多く含み、中でも亜鉛・ナイアシン・ビタミンDを多く含みます。
ビタミンD
マイタケには、ビタミンDが豊富に含まれています。
ビタミンDはキノコ類に入っているものと入っていないものがあります。シメジやエリンギ、マツタケには、ビタミンDはあまり入っていません。
干しシイタケやキクラゲには、ビタミンDが多く含まれていますが、一般的な生のキノコでは、マイタケが最も多く含まれています。
食物繊維
キノコ類は食物繊維を多く含みますが、マイタケにも多くの食物繊維が含まれています。
カリウム
マイタケは、ナトリウムの吸収を予防するカリウムをたくさん含んでいます。
葉酸
キノコ類の中でも、マイタケは葉酸を多く含みます。
キノコ類は葉酸を多く含みますが、マイタケはマッシュルームやシメジ、生シイタケよりも多くの葉酸を含んでいます。
マイタケによる健康効果

マイタケには、ほとんどカロリーはありません。
カロリーがないキノコ類にはあまり栄養がないように見られていますが、マイタケには色々な栄養素が含まれています。
ダイエットに最適
低カロリーで食物繊維の豊富なマイタケは、身体の中からの不要なものを排出するデトックス効果があり、ダイエットをサポートする働きがあります。
マイタケの食物繊維は消化管を刺激し、その動きを活発にする効果があります。満腹感を与え、エネルギーの過剰摂取を防ぐ働きもあります。
ダイエットについては以下にまとめてみましたので、併せてご覧ください。
美肌・美髪効果
マイタケには、美容ビタミンと呼ばれる「ビタミンB2」がたくさん入っています。
ビタミンB2は三大栄養素をエネルギーにする時の補酵素となり、さらに皮膚組織の再生に必要なビタミンです。
そのため、マイタケに含まれるビタミンB2は肌のターンオーバーを整えてくれます。
冷え性を予防
マイタケの葉酸は赤血球を作る働きがあり、健康な血液を作ることで身体の中から冷え性を予防する働きがあります。
貧血も予防し血流を良くすることで、冷え性を予防する働きがあります。
冷え性改善については以下にまとめてみましたので、併せてご覧ください。
風邪・インフルエンザに
風邪の予防にはマイタケの免疫力アップを促すβ-グルカンが効果的です。
マイタケには抗インフルエンザ感染作用もあると考えられています。
風邪については以下にまとめてみましたので、併せてご覧ください。
糖尿病予防
食物繊維が豊富なマイタケは、血糖値の急激な上昇を防ぎ、糖尿病予防をサポートする働きがあります。
抗ストレスと成長促進
マイタケに含まれるビタミンDは、カルシウムが骨になる時に必要な栄養素です。
カルシウムの吸収を良くすることから、子どもの成長促進効果と神経の興奮を抑制する働きがあると考えられています。
便秘解消!腸内環境改善
不溶性と水溶性の2つの食物繊維を併せ持つマイタケは、腸内環境改善の大きく役立ちます。
マイタケほとんどが食物繊維のため、マイタケを摂ることで腸内環境が整い、便秘予防の効果があります。
便秘については以下にまとめてみましたので、併せてご覧ください。
高血圧予防効果
マイタケには豊富なカリウムが含まれます。
ほとんどナトリウムが含まれないマイタケは、他の食に含まれるナトリウムの吸収とバランスを摂る働きがあります。
ナトリウムの吸収を抑制し、高血圧の予防にも効果が期待できます。
高血圧については以下にまとめてみましたので、併せてご覧ください。
風邪予防効果
マイタケには「マイタケDフラクション」という特有成分を含みます。
マイタケDフラクションは、ナチュラルキラー細胞の活性を促す働きがあり、免疫力を高める効果があります。
それにより風邪予防をはじめ、抗がん効果への期待も注目されています。
マイタケの下処理と保存方法
マイタケの下処理
マイタケを使う時は、石づきを切り落とします。
マイタケの保存方法
マイタケを保存するときは、ラップに包んで冷蔵庫で保存します。乾燥しないように袋に入れ冷蔵庫で保存をしても、なるべく3日から4日で使い切るようにします。
マイタケは水気がついていると傷みやすいので、購入後洗わずに保存します。
冷凍して保存するときは、ジッパー付きの袋などに、石づきを切り落として小房に分けたマイタケを入れて冷凍保存します。
冷凍保存の場合には、1ヶ月程度保存をすることができます。
生のマイタケではなく、天日干しで乾燥させたものは常温で長期保存が可能です。
すぐに使いきれない場合は、石づきを切り落とし使う長さに切った状態でジッパー付きポリエチレン袋などに入れ冷凍します。使う場合は自然解凍や、加熱する料理のときは、そのまま調理することもできます。
マイタケの調理法

マイタケを使った美味しいリゾットをご紹介しましょう。
マイタケのリゾットの材料 (4人分)
| 食材 | 分量 |
|---|---|
| マイタケ | 100g |
| ブナシメジ | 100g |
| 豚ひき肉 | 200g |
| ニンニク | 1片 |
| サラダ油 | 大さじ1 |
| 調味料 | 味噌:大さじ2 酒:大さじ1 みりん:大さじ1 砂糖:大さじ1 |
| ごはん | 600g |
| 牛乳 | 400ml |
| 塩 | 小さじ1/2 |
| コーン缶 | 50g |
| とろけるチーズ | 40g |
| パセリ | お好み |
マイタケのリゾットの作り方
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マイタケは小房に分け、ブナシメジは石づきを切り分けておきます。ニンニクはみじん切りにします。
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フライパンにサラダ油とニンニクを熱し、香りが立ったらマイタケ、ブナシメジと豚ひき肉を炒め調味料を入れて混ぜます。
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鍋に牛乳とごはんを入れ、水分がなくなるまで煮て、塩を入れ混ぜます。
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耐熱容器に煮込んだご飯、炒めたキノコと豚ひき肉、コーン、チーズの順にのせ、トースターで焼き色がつくまで焼きます。
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お好みでみじん切りにしたパセリを飾ります。
まとめ
昔は希少キノコだったマイタケが、簡単に手に入る時代になりました。
美味しくて栄養価が高いマイタケです。今では、栽培マイタケがリーズナブルな価格で購入することもできます。
色々な料理に利用して、健康効果も高めてみましょう。