野菜の輸入量トップ10!統計データから国別割合を解説!

輸入イメージ

日ごろわたしたちが口にしている野菜。どこで作られたものなのか、気になったことはありますか?

日本の食料自給率が低いことは周知の事実。では、実際に野菜に関してはどのような輸入の形態をとっているのでしょうか。

日本人の主食は米。古くから続く米食文化のおかげか、米の自給率は100%近くあります。数%ぶんの米の輸入はされているものの、それらはお菓子やお酒の材料、あるいは家畜のえさとして使われています。

実際に、ごはんとなって私たちの目の前に並ぶのは国産のお米です。米の自給率は高いものの、それ以外の野菜の自給率はどうなのでしょうか。

そこで、今回は理由とあわせて、野菜の輸入量をランキング形式で紹介します。

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野菜の輸入量ランキング

簡単に2018年の野菜の輸入量をまとめると、以下のランキングになります。

順位 野菜名
1位 タマネギ
2位 ニンジン
3位 カボチャ
4位 キャベツ
5位 ネギ
6位 ゴボウ
7位 ピーマン・パプリカ
8位 ジャガイモ
9位 ニンニク
10位 ブロッコリー

1位:タマネギ

タマネギの輸入量は年間30万トン前後と、他の野菜の輸入量に比べてたいへん多いです。

しかし、タマネギ自体の自給率は70%~80%ほど。輸入量1位の野菜とはいえ、自給率で見るとこのくらいになります。

タマネギの生産は、日本では明治時代に本格化しました。今ではいろいろな料理に欠かせない食材となっているタマネギですが、実は食卓に並ぶようになったのはここ150年ほどのことです。

日本のタマネギは主に北海道で生産されており、日本での生産のうち6割強程度を北海道産が占めています(約80万トン前後)。

輸入先としては中国が最多(約27万トン前後)、次点でアメリカ、ニュージーランドとなっています。

中国産のタマネギの懸念点は、生産コストの増加にかかるところが大きいでしょう。労働賃金が上昇しているなか、中国国内で他の作物に切り替えるタマネギ業者が増えているため、これから供給量が減っていくおそれがあります。

タマネギについては以下で詳しく解説していますので、のちほどご覧ください。

タマネギ
タマネギの栄養と効能

ヒガンバナ科ネギ属のタマネギは、どの家庭にも必ず常備してあるのではないでしょうか。カレーや炒め物には無くてはならない、名脇役の野菜です。

2位:ニンジン

甘い野菜のニンジン。最大輸入先は中国(約9万トン前後)です。日本ではやはり北海道での生産が最も多く、約15万トンほど。しかし、千葉県の生産も次いで多く、なんと約10万トン程度が生産されています。

ニンジンは冷たい気候を好みます。暑すぎもせず、寒すぎもしない程度が適温です。そのため日本では秋の収穫分として北海道、冬の収穫分として千葉県での栽培が盛んなのです。

元々冬の栽培は困難であり、ニンジンの輸入は台湾産が最初の主流でした。しかし、1990年代後半から中国産が主流になります。現在の輸入量は先述の通り中国が最大、現在では台湾産は1,000トンにも満たないレベルです。

また、中国とは大差ではありますが、オーストラリアやベトナム産のニンジンも2,000~4,000トン程度の輸入量があります。

ニンジンについては以下で詳しく解説していますので、のちほどご覧ください。

ニンジン
ニンジンの栄養と効能

ニンジンはセリ科ニンジン属の、鮮やかなオレンジ色の野菜です。煮込み料理や酢の物、サラダなど様々な料理で活躍するため、ほとんどの家庭で常備されている野菜ではないでしょうか?

3位:カボチャ

冬至に食べるカボチャ。煮物にすると非常に甘くなる野菜です。日本へは1,500年代にやってきたとされます。日本での生産地は主に北海道。約8万トンと、国内生産の5割前後の数値を誇ります。

カボチャの輸入先はニュージーランドが最も多く(約5万トン前後)、ついでメキシコ(約4万トン前後)、3位は差が開いて韓国(約2,000トン)です。

中南米原産だけあって、やはり暖かい地域での生産が多いようですね。いずれの国も日本の輸入業者や商社などが主体となって、各国で生産開始となりました。

現時点でも相当量をニュージーランドで生産していますが、現地の最大手の生産者は需要次第でまだまだ増産可能と発言しています。

中国向けにカボチャが輸出される流れがあるようですが、日本への供給は心配しなくとも良さそうです。

カボチャについては以下で詳しく解説していますので、のちほどご覧ください。

カボチャ
カボチャの栄養と効能

ウリ科カボチャ属のカボチャは、β-カロテンなど栄養がたっぷり。和食だけでなくグラタンやスープなどの洋食やお菓子作りにも大活躍します。

4位:キャベツ

キャベツの輸入先最大手は、7万トン程度の中国。

しかし、キャベツも多くは国産品でまかなわれています。なんと群馬県が最大の26万トン、次いで愛知県が25万トン、さらに千葉県と茨城県が12万トンと、多くの県でたくさん作られているのです。

群馬県の嬬恋(つまごい)村は、特にキャベツの栽培で有名ですね。群馬県のキャベツ生産量の9割を生産しています。

キャベツについては以下で詳しく解説していますので、のちほどご覧ください。

キャベツ
キャベツの栄養と効能

キャベツはアブラナ科アブラナ属の多年草の野菜で、1年を通して出荷されます。生食でも加熱してもおいしい野菜で、和・洋・中様々な料理で使うことができる野菜の1つです。

5位:ネギ

味噌汁の具にしたり、そのまま焼いたり、古くから日本で食べられてきた野菜だけに親しみ深いネギ。

単純な生産高は中国が1位ですが、日本は2位についています。また、実は日本のネギの単位面積当たりの生産高は世界1位と、歴史ある野菜の強さを見せつけています。

そんなネギですが、輸入先は中国とベトナムのみ。1位の中国が約6万トン、2位のベトナムはわずかに20トン前後です。

ちなみに国産のネギは約30万トンと、輸入量に比べて大きく水をあけています。輸入のネギは薬味用やレストランでの業務用などが主な使い方となっています。

ネギについては以下で詳しく解説していますので、のちほどご覧ください。

ナガネギ
ナガネギの栄養と効能

ヒガンバナ科ネギ属の長ネギは、根深ネギとも呼ばれ、和食の中心野菜。一年を通して様々な料理に使用されます。調味料としても大活躍します。辛味とシャキシャキ感にファンも多い?

6位:ゴボウ

ゴボウ抜き、などの慣用句があるこの野菜。こちらも輸入最大手は中国です。次いで台湾、ベトナムと続きます。

戦時中、欧米人の捕虜に対し、当時一般には高価で食べられないゴボウを与えたところ、「木の根を食べさせられた」として戦犯扱いされてしまった、という話が残っています。

この話が表すように、実際にゴボウを食用としているのは日本や韓国、台湾といった限られた国だけなのです。

では、中国はどうかと言いますと、元々漢方薬として利用されていました。そのせいもあってか、輸入量は断トツです。

ちなみにゴボウは細いイメージがありますが、成長しきると野球のバット程度の大きさに育ちます。ただし身がスカスカで美味しくないため、出回っていないのです。

ゴボウについては以下で詳しく解説していますので、のちほどご覧ください。

ゴボウ
ゴボウの栄養と効能

キク科ゴボウ属に属するゴボウは、食物繊維が豊富な根菜です。キンピラやサラダ、スープなどとして調理されます。豊かな香りと健康効果が注目の食材です。

7位:ピーマン・パプリカ

とうがらしの仲間、ピーマンとパプリカ。こちらの輸入先は韓国で、3万トンほどです。

オランダ産がそれに続き、約5,000トンほど。パプリカの本場はヨーロッパ。生産量だけ見ると、スペインが100万トン、オランダは30万トンほど。

これだけ見ると、スペインからもっと輸入できそうに思いますよね。しかし、それがされていないのは、日本の植物防疫規制のためです。

ミバエという、果実に付着する害虫がいます。聞きなれない単語ですが、それもそのはず、これは日本にはいない病害虫です。

ヨーロッパには地中海ミバエという種類のハエが存在するため、ほとんどのヨーロッパの国からはパプリカなどの輸入ができないのです。

オランダ産を少量輸入しているのは、オランダ政府からの要請に対し、条件付きで日本が承認したためです。

ピーマンについては以下で詳しく解説していますので、のちほどご覧ください。

ピーマン
ピーマンの栄養と効能

ピーマンは、ナス科トウガラシ属の一年草です。鮮やかな緑色で果肉が厚く、少し苦みがありますが、炒め物などにするとその苦みがアクセントになり、おいしい野菜です。

8位:ジャガイモ

7位にランクインしているジャガイモ。輸入先は2万トンほどのアメリカが最大手です。

しかし、実はそれとは比較にならないほど国内で生産されています。なんと、北海道の生産量だけでおよそ200万トン。その他、長崎県や鹿児島県などでも8万トン以上の生産があるため、国内消費量の輸入品の割合は非常に低いです。

南米原産の作物で、15世紀~16世紀にスペイン人が本国へ持ち帰ったことをきっかけに伝播しました。日本へは1598年に持ち込まれましたが、18世紀末、北海道・東北地方にて飢饉対策に大活躍。今日では先述の通り、ほとんど輸入に頼らないような生産をしています。

しかし、ここまで圧倒的な生産量であっても、それはあくまで日本での消費分。海外の生産を含めると、やはり中国が圧倒的です。その数およそ1億トン。なんと日本はトップ10にも入っていません。

ジャガイモについては以下で詳しく解説していますので、のちほどご覧ください。

ジャガイモ
ジャガイモの栄養と効能

ジャガイモはナス科ナス属で、米・麦・トウモロコシと並び「世界の4大作物」とも呼ばれているほど、世界ではメジャーな食材です。様々な調理法があり、親しまれている野菜の1つです。

9位:ニンニク

青森県産が有名な野菜、ニンニク。青森の生産量は1万トン程度と、国内生産量では最多です。(2位は北海道の700トンほど)

一方で、輸入に関しては中国が約2万トンと、キャベツなどとは違って輸入に数を頼っている傾向にあります。

スーパーマーケットなどで、国産のニンニクと中国産のニンニクの価格を比べたことはないでしょうか1房あたりの価格が倍近くになっているのを見た、という方もいらっしゃるかもしれません。

実は中国産と青森産では、品種が違います。具体的には、青森では寒冷地で育つ品種、中国では温帯気候で育つ品種が栽培されています。

この違いが非常に大きく、青森産のニンニクは中国産に比べて身が詰まっていたり、粒そのものが大きかったり、栄養価にも大きな違いがあるなど、価格差があるだけのことはあるのです。

しかし、中国産の安さはやはり魅力。スーパーマーケットでの家庭用をはじめ、業務用・加工用などの需要があるため、中国産のニンニクが多量に輸入されているのです。

ニンニクについては以下で詳しく解説していますので、のちほどご覧ください。

ニンニク
ニンニクの栄養と効能

キジカクシ目ヒガンバナ科のニンニクは、ネギの仲間の多年草です。ニンニクはスパイスのイメージがありますが、香味野菜です。その香りの強さから、人と会う前日に食べるのを控えることもあるのでは?

10位:ブロッコリー

アメリカ第41代大統領、ジョージ・H・W・ブッシュには、ブロッコリーに関する逸話があります。彼はブロッコリーが大嫌いで、大統領専用機の機内食メニューからブロッコリーを全て無くしてしまいました。

また、ブロッコリーを嫌う発言をしたところ、それに怒ったブロッコリー農家の人からトラックで大量のブロッコリーを送り付けられる、などの抗議活動に遭っています。

そんなアメリカが、ブロッコリー輸入の最大手。年間1万5千トンほどが輸入されています。メキシコ、オーストラリア、中国からも輸入していますが、その数は1,000トン前後といったところ。

一方、日本では北海道、埼玉県、愛知県、香川県、長野県などが1万トンを超す程度の生産量を保っています。

ブロッコリーについては以下で詳しく解説していますので、のちほどご覧ください。

ブロッコリー
ブロッコリーの栄養と効能

アブラナ科アブラナ属のブロッコリーは、木を小さくしたような形をしている野菜です。キャベツの仲間で、野菜類の中でもトップクラスの栄養を持っています。その鮮やかな色合いから、お弁当や洋食によく活用されます。

まとめ

以上、野菜輸入量のトップ10でした。こうしてみると、やはり輸入先としては中国が多いことが目立ちます。

中国産の食品については、衛生管理の面などで心配という方は多いでしょう。

農薬が野菜に残り、それが人体に摂取されることで害が起きる、残留農薬問題などが話題になって記憶に新しいため、不安に思われる方が多いのも仕方のないことだと思います。

しかし、日本の野菜は多くを輸入に頼っており、その割合は中国が最も多いことが現実です。

もちろん、品質は過去の粗悪なままではありません。少しずつ改善をしており、ニンジンなどは国産・中国産・台湾産、どれも品質にさほどの違いはないと言われるほどです。

日本の食料自給率は40%程度と、低いのは相変わらずです。

米やジャガイモのように国産品で消費のほとんどを賄うことが一番ですが、正しい情報を手に、輸入野菜も手に取ってみてください。

どうしても気になるという方は、野菜を洗剤で洗うという選択肢もあります。

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かつて日本では、野菜を洗剤で洗ってから料理をする習慣がありました。なぜ洗っていたのか、今でもできるのか、あなたは分かりますか?野菜と洗剤の歴史をまとめてみました。

参考文献

財務省貿易統計・2018年輸入計

作物統計調査 (平成28年産野菜生産出荷統計)

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