モロヘイヤはアオイ科ツナ属の一年生草木です。アラビア語で「王様の野菜」と呼ばれ、その名の通り栄養価の高い野菜です。しかし、実(さや・種)には毒性があるため食べることはできません。
そんなモロヘイヤの栄養と健康効果、歴史をまとめました。
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モロヘイヤの起源と歴史
北アフリカ原産で「シマナツソ」と呼ばれる植物です。
実(さや・種)には毒性があると言われているため、葉の部分のみ食用とされています。この葉の部分を「モロヘイヤ」と呼び、近年、栄養価の高い野菜として使われています。
アラビア語で「王様の野菜」という意味を持ちますが、これはエジプトの王様がモロヘイヤのスープを飲んだところ、病気が治ったことから言われています。
昔から栄養価の高い野菜として使われていたことが分かりますね。
日本での栽培は1980年代から始まりました。モロヘイヤを日本に紹介したのは飯森嘉助氏で、全国モロヘイヤ普及協会を設立し、普及に努めました。それにより、現在日本各地で栽培されています。
家庭菜園でも容易に栽培が可能です。
モロヘイヤは葉を刻むとぬめりが出るのが特徴の野菜で、葉を食用としますが、柔らかい茎であれば食べることができます。葉は大葉に似た形をしています。
さやと種には毒がある
モロヘイヤのさやと種には、毒性のあるステロイド類のストロファンチジンが含まれています。
強心作用を持つため、摂取すると心不全を引き起こし、最悪の場合死に至ることもあります。平成8年に牛の死亡例が報告されています。
さや・種に毒性があるだけで、収穫期を迎えた若葉と茎には毒性はありませんが、新芽が出てから一定期間の若葉や完熟した茎からは毒性があるという報告もされています。
店頭に並ぶモロヘイヤは、収穫期を迎えたものなので安全だと言われています。安心できますね。
しかし家庭菜園など自分で栽培している場合、自分で見極めないといけないため、注意が必要です。
モロヘイヤの旬と有名な産地
モロヘイヤの旬は暖かい時期で、6月から8月頃までがピークになります。
群馬県が生産量1位を誇っています。
良いモロヘイヤの選び方
茎が柔らかく、葉先がピンと張っているもので鮮やかな緑色なものが良いです。
茎がしなびているものや葉が変色しているものは鮮度が落ちています。
切り口が茶色になっているものは葉が硬くなっており、美味しく食べることができません。
モロヘイヤに含まれる栄養素
モロヘイヤは栄養価が高く、様々な栄養素が含まれています。
主に、ビタミンA(β-カロテン)、ビタミンK、ビタミンC、カリウム、カルシウム、食物繊維が豊富に含まれています。
β-カロテンを多く含む野菜としては、他に以下があります。
カリウムを多く含む野菜としては、他に以下があります。
ビタミンCを多く含む野菜としては、他に以下があります。
モロヘイヤによる健康効果
がん予防や生活習慣病予防効果
モロヘイヤに含まれるβ-カロテンは、活性酵素の働きを抑え細胞の酸化(老化)を遅らせたり、粘膜を保護する作用があります。
骨粗鬆症の予防効果
ビタミンKは血液凝固を抑制する作用の他、カルシウムが骨を作る際に必要とする栄養素でもあります。カルシウムとの相乗効果で、骨粗鬆症の予防効果もあります。
その他栄養素からは高血圧・動脈硬化予防、便秘予防などに期待できます。
また、ぬめり成分はムチンで、タンパク質の消化吸収を助けたり、コレステロール値や血糖値の改善をする働きがあります。
モロヘイヤの保存方法
モロヘイヤは乾燥に弱く、日持ちには向かない野菜のため2日~3日で食べきる必要があります。
茎を軽く濡らし新聞紙で包み、ポリ袋に入れて野菜室で保存してください。茎を水で濡らすことで、しなびてしまうことを防止します。
長期間保存しようと思うと、冷凍保存になります。塩茹でし、冷ました後、冷凍庫で保存します。冷凍保存することで1ヶ月前後は保存することが可能になります。
モロヘイヤのおすすめの調理法
モロヘイヤにはアクの原因であるシュウ酸を含むため、一度下茹でしてから調理しましょう。
そのまま調理してしまうと、苦味やえぐみが残ってしまいます。
食べ方としては、おひたし、和え物、炒め物、煮込み、天ぷら、スープ、スムージーなど幅広く使用できます。β-カロテンは脂溶性のため、油を使った料理にすることで吸収率がアップします。
ねばりを楽しみたいという方は、納豆・オクラ・山芋などのネバネバ食材と一緒に食べることをおすすめします。
また、モロヘイヤの錠剤や粉末もあり、牛乳やヨーグルトに混ぜたり、パン・うどんなどに混ぜて使用されていることもあります。
まとめ
モロヘイヤは「王様の野菜」と言われるほど栄養価の高い野菜です。出回る期間が短いため、旬の時期はしっかり食べておきたい野菜のひとつですね。
モロヘイヤは手軽に栽培できる野菜ですが、毒性を持つ部分があるため注意しなければなりません。正しい取り扱い方・食べ方を知ったうえで栽培するようにしましょう。