サトイモ科サトイモ属に属するサトイモは、秋から冬にかけておいしくなり、お正月料理には欠かせません。サトイモの煮物はおふくろの味と言われる、優しい味わいです。
そんなサトイモの栄養と健康効果、歴史をまとめました。
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サトイモの起源
サトイモの原産地は、インドの東部からマレーシアにかけての東南アジアと言われています。紀元前2500年頃には各地に広まり、アフリカでは現在でも「タロイモ」として主食になっています。
日本へは縄文時代にはすでに伝わっていたようです。万葉集の歌に詠まれたのが最古の記述とも言われ、平安時代の辞典的な書物「和名抄(わみょうしょう)」や法典「延喜式(えんぎしき)」にも記載があり、古くから日本で親しまれていたことがわかります。
江戸時代まで「いも」と言えばサトイモのことを指しましたが、ジャガイモやサツマイモなどが海外から伝わると、「いも」の名称はそちらにとってかわられてしまいました。
サトイモの種類
サトイモの代表的な品種は、「土垂(どだれ)」です。楕円形で柔らかくねっとりしており、煮崩れにくいので煮物に適しています。関東を中心に一年中出回ります。
「石川早生」は8月頃から収穫される子芋用の品種です。コロコロと小さく丸い形をしているので、皮付きのまま蒸して食べることもできます。
他にも、お節料理に使われる「八つ頭」、冬場に出回る「たけのこいも」または「京いも」、京料理に使われる「唐芋(とうのいも)」などもあります。
「ずいき」と呼ばれるサトイモの葉と茎も食べられます。皮をむいて酢の物にしたり味噌汁委にしたりします。
サトイモの旬と産地
サトイモの旬は、9月から12月にかけてです。主な産地は、宮崎県、千葉県、埼玉県、鹿児島県、愛媛県などです。
良いサトイモの選び方
良いサトイモはふっくらと丸みがあり泥付きで、変色やキズが無いものです。皮が乾いているものより湿っているものの方が、新鮮です。
お尻の部分が柔らかくなっていると、鮮度が落ちています。
サトイモに含まれる栄養素
サトイモには、カリウムと食物繊維が含まれています。また、サトイモのぬめりには、胃腸の粘膜を保護してくれる「ムチン」、水溶性の食物繊維の「ガラクタン」、便秘を予防し糖尿病の予防効果もある「マンナン」が含まれています。
サトイモによる健康効果
高血圧の予防・改善とむくみ解消
サトイモに豊富に含まれているカリウムは、ナトリウムに含まれている余分な水分を排出する効果が期待できます。血圧を低下させる効果もあり、高血圧の予防・改善に効果が期待できます。また余分な水分を排出するため、むくみ解消にも効果が期待できます。
高血圧予防については、ヒントを以下にまとめてみましたので、併せてご覧ください。
むくみ解消については、ヒントを以下にまとめてみましたので、併せてご覧ください。
カリウムが含まれる他の野菜については、「カリウムが豊富な野菜ベスト10」で確認しましょう。
疲労回復と胃腸のサポート
サトイモにはエネルギー源となる糖質が多く含まれており、疲労回復に役立ちます。また、サトイモの粘りの主成分であるムチンには胃腸の粘膜の保護と修復作用があり、弱った胃腸をサポートしてくれます。
胃腸の粘膜を正常に保つ効果がある他の野菜は、以下が挙げられます。
ムチンが含まれる他の野菜は、以下が挙げられます。
疲労回復についてはヒントを以下にまとめてみましたので、併せてご覧ください。
便秘解消
サトイモの食物繊維は100g中2.3gとそれほど多くはありません。しかし、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の割合が2:1と理想的なバランスなため、便秘解消に大きな効果を発揮します。
サトイモに含まれる水溶性食物繊維であるグルコマンナンやムチン、ガラクタンは、腸内で善玉菌のエサとなり、腸内の善玉菌を増やす効果が期待できます。そのため、腸内環境は改善され、便秘の解消につながります。
他に便秘解消に効果がある野菜としては、以下が挙げられます。
便秘解消については、ヒントを以下にまとめてみましたので、併せてご覧ください。
糖尿病予防
サトイモに含まれる水溶性食物繊維であるムチンやグルコマンナンは、体内で糖の吸収を緩やかにする働きがあります。そのため、血糖値の急激な上昇を抑え、糖を脂肪に変えて蓄積させるインスリンの分泌を抑えます。
さらに、食物繊維が胃腸内で膨らむことで、消化吸収が緩やかになります。このようなサトイモの成分の働きは、糖尿病予防につながります。
不眠症の改善
サトイモに含まれるトリプトファンは、脳内物質であるセロトニンの材料となります。セロトニンは睡眠に必要なメラトニンを生成しますので、トリプトファンを摂取すれば睡眠改善が期待できます。
不眠症改善については、ヒントを以下にまとめてみましたので、併せてご覧ください。
サトイモのおすすめ調理法
サトイモは「ぬめり」があるので調理しづらいですし、味の染みも悪くなります。ゆで汁に塩を入れたり、一度茹でこぼしてもう一度水からゆでたりすると、ぬめりを抑えることができます。
しかし、このぬめりには大事な栄養素「ムチン」が多く含まれるため、あまり落としすぎない方が良いようです。
サトイモの皮をむくとき手がかゆくなるのは、皮の近くにあるシュウ酸カルシウムが原因です。手に酢水や塩、重曹をつけてから皮をむく、サトイモをラップに包んで電子レンジで加熱してから皮をむくと良いでしょう。