ナス科ナス属のナスは炒めても煮ても焼いても、おいしくいただける夏野菜です。子供にはあまり人気がありませんが、大人になると不思議とみんな大好きになります。
そんなナスの栄養と健康効果、歴史をまとめました。
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ナスの起源
ナスの原産地はインド東部で、紀元前から栽培されていたと言われています。紀元前5世紀頃には東南アジアから中国へ伝わり、ヨーロッパへは中東や地中海沿岸を経て13世紀頃に伝わったと考えられています。
日本へは奈良時代には栽培が始まっていたようで、正倉院の文書にも「茄子」の記載がありますし、平城京の遺跡からもナスについての記録が残った木簡が発見されています。
ナスの種類
一般的なナスは「中長ナス」で、「千両」「千両二号」「早生大名」などの品種があります。
コロッと丸くソフトボールくらいの大きさの「丸ナス」には、京野菜の「賀茂ナス」、長野県の「小布施ナス」、奈良県の「大和丸ナス」などがあります。また、3~8センチほどの小さい「小ナス」は、漬物に最適です。
「米ナス」はアメリカ種を改良した品種で、大型で皮の色は黒紫、ヘタは緑色です。煮崩れにくいので焼き物や煮物、田楽などに最適です。
他、漬物に適した「水ナス」、20センチ以上の長い「長ナス」、皮が白い「白ナス」、皮が薄緑から緑色の「青ナス」もあります。
ナスの旬と産地
ナスは夏が旬の夏野菜。秋に出回る秋ナスもおいしいですね。5月から9月にかけて出回ります。
産地は高知県や熊本県、群馬県などです。
良いナスの選び方
良いナスは皮の紫色が濃く、ハリとつやがあって、ふっくらしているものです。ヘタがチクチクして痛いくらいのものが新鮮です。
ヘタがしおれて実がしわしわのものは、鮮度が落ちています。
ナスに含まれる栄養素
ナスには含有量は低いものの、ビタミンB群、ビタミンC、カリウム、鉄、カルシウム、食物繊維などを含んでいます。
近年は「ナスニン」というポリフェノールの一種や、消化酵素としての働きを持つ「コリン」に注目が集まっています。
ナスによる健康効果
夏バテ解消
夏には古来より、「体を冷やす作用がある」と言われています。「秋ナスは嫁に食わすな」というのは、「嫁に食べさせるには、もったいないくらいおいしい」という意味もあるようですが、女性の体の冷えを心配して言った言葉でもあります。
夏の暑い時期にナスを食べれば、体の余分な熱を取り払ってくれて、夏バテを解消してくれる効果があると考えられています。 実際、ナスに含まれるカリウムには利尿効果があるため、体の熱を水分と一緒に放出してくれます。
老化の予防
近年注目を集めているのが、ナスに含まれる「ナスニン」というポリフェノールの一種です。ナスニンには活性酸素による酸化、つまり老化現象を抑える働きがあります。がん予防の効果が期待できます。
生活習慣病の予防
ナスニンなどの抗酸化作用がある物質は、血液をサラサラにしてくれる効果が期待できます。そのため、動脈硬化や血栓などの生活習慣病の予防に役立ちます。
生活習慣病予防に有効とされる野菜は、他に以下があります。
ダイエットサポート
ナスに含まれる消化酵素として働く「コリン」には、脂質や糖質の代謝をサポートしてくれる働きがあります。さらに、コリンから生成されるレシチンには、肝臓や血管に付着した資質を排出する働きがあります。 これらの働きは体内の代謝を高めてくれるため、ダイエットに役立ちます。
しかも、ナスは100g当たり22kcalと低カロリーなので、たくさん食べても安心ですね。
ダイエットに有効とされる野菜は、他に以下があります。
ダイエットについてはヒントを以下にまとめてみましたので、併せてご覧ください。
ナスのおすすめ調理法
健康効果が高いナスニンは皮の部分に多く含まれているため、皮は必ず食べるようにしましょう。
ナスを切るとポリフェノールが酸化して黒くなるため水につけますが、つけすぎると栄養素が流れ出してしまうので、水につけすぎないようにしてください。
ナスは油との相性が良いため炒め物や揚げ物、パスタなどがおすすめですが、もちろん、煮物や漬物にしてもおいしいです。漬物にする時には、鉄くぎや焼きミョウバンを入れておくと、ナスニンが減るのを防ぐことができます。